みなさん「緑茶の日」ってご存じでしょうか?
あまりピンと来なくても、次の歌は小学校の時に習った人も多いのでは?
「夏も近づく八十八夜 野にも山にも 若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか あかねだすきに すげの笠」
唱歌である「茶摘」です。
「せっせーせー」の手遊びとしても有名ですね。
実は、作詞者も作曲者もハッキリしていないんですよ。
京都や宇治の周辺には、似たような茶摘み歌が残されているようですが…。
で、この歌詞に登場する「八十八夜」が、緑茶の日なんです。
八十八夜っていつからカウントするの?
字面から考えると、88日目の夜、ということですが。
「夏も近づく~」という歌詞から、どう考えてもお正月からではなさそうです。
八十八夜の起点は、立春の日。
立春の日を1日目と数えてから、88日目が八十八夜にあたります。
立春の日は、2月4日「頃」とされています。
国民の祝日のように、決まった日付ではありません。
これは地球と太陽の位置、それと1年を24の季節に分ける、
二十四節季の、割り当てによるものだからです。
2020年の立春は2月4日でした。
2021年は2月3日で、節分の日と重複します。
ちなみに「緑茶の日」と定められたのは、意外にも最近。
1990年に日本茶業中央会が、制定したのが始まりです。
このことからデパートなどでは、緑茶の日の試飲会など、
緑茶の販促キャンペーンが、一段と活気づきます。
八十八夜=緑茶の日も変動する
数え始めの立春の日が、年によって変動するのであれば、
当然、八十八夜も年によって変わります。
2020年の緑茶の日は、5月1日(金)です。
オリンピックイヤーでもある2020年はうるう年なので、この日付となっています。
立春が2月4日の場合、うるう年でなければ、5月2日が八十八夜にあたることになります。
このように、八十八夜がいつなのかを決めるには、
立春の日付とうるう年か否かが、大きく関わってくるんですね。
八十八夜って何がそんなに特別なの?
八十八夜は、5月頭の初夏。
実は、お茶の生産農家に対する、注意喚起が込められているんです。
お茶に限らず農家全般ですけどね。
八十八夜を迎えるまでは、天候が安定せず、場合によっては、霜が降りることもあります。
霜が降りるほど冷え込んでしまえば、生活の糧である収穫にも大きな影響が出ますよね。
「八十八夜の別れ霜」、「八十八夜の泣き霜」という言葉も残されており、
八十八夜を過ぎてから本格的な農作業を始めよう、という目安だったのです。
生活の知恵に基づいた、日本独自の習わしですね。
地方によっては「九十九夜の泣き霜」と、5月下旬ごろまで、
霜の被害を受けてしまうこともあるようですが…。
縁起がよい数字
七五三、三々九度など、日本では、奇数が縁起の良い数字とされてきました。
最近ではだいぶ緩くなりましたが、結婚式でも「割り切れてしまう」偶数のご祝儀よりは、
奇数のご祝儀が好まれます。
でも、結婚式でも喜ばれる偶数があるんです。
その数字が「八」。
「八」という漢字は、下に行くにしたがって、二本の線の幅が広くなっていきますよね。
こういうのを「末広がり」と言います。
末=子孫が広がるに通じるので、子孫繁栄という縁起のいい漢字なんですね。
八十八夜は、この八が二重になっています。
それで、非常に縁起の良い日ともされているんですよ。
八十八夜に摘むの?飲むの?
八十八夜前後に摘んだお茶は、「新茶」・「一番茶」と呼ばれて大変人気があります。
いわゆる「初物」ですね。
カツオやマツタケなど、日本人は初物が大好きです。
ただ単に「初物」だから好まれる、というわけではありませんよ。
一番茶はほかとどう違う?
お茶の葉は、年に4回収穫のチャンスがあります。
二番茶は6~7月、三番茶は7月~8月、最後の四番茶は10月下旬ごろまでに摘まれたお茶です。
それぞれ風味に特長があるのですが、一番茶の風味はなんといってもまろやかさ。
寒い冬を乗り切った後、初めて摘むお茶なので、養分をため込んでいるんですね。
特に、お茶のうまみ成分であるテアニンが豊富。
逆に渋みや苦みのもとになるカフェインやカテキンは、少なめです。
眠気覚ましには向かないようですが、ふんわりとした甘味を感じられ、飲みやすいです。
それに、爽やかな香りも楽しめます。
ゲン担ぎ
先ほど触れたように、八十八夜は縁起の良い日。
この日に新茶を飲むと、長生きができるという言い伝えも残っています。
結論から言うと、お茶を収穫しても、飲んで楽しんでも良いようです。
恐らく、摘んだお茶をすぐに飲むのがベストでしょうが、
お茶畑を所有している人くらいしか無理でしょう(笑)
現代では、初摘みのお茶を緑茶の日に購入して、飲むのがいいかもしれませんね。
まとめ
以上、緑茶の日や八十八夜に関する、四方山話でした。
普段はあまり緑茶を飲まない人も、今年の一番茶にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
お湯を沸かして急須で入れるのが面倒だな、という人には、
「新茶」と印字されているペットボトル飲料でも。
5月1日に飲んでみるだけで、気分も変わるかもしれませんよ。